スポーツ選手が前傾姿勢をすると怪我をする

スポーツ選手が前傾姿勢をすると怪我をする

スポーツ選手のパフォーマンスを高めるには、無駄な力みをできるだけ取り、最大限に筋肉を活用する必要があります。そうして、筋肉に力みがなければ、「腰」「肩」「膝」といった部位に負担が少なくなります。

そのような身体使いを実践すれば、体の怪我や不調を予防できます。しかし、一般人のみならず、スポーツ選手であっても「腰痛」「肩こり」「膝痛」をかかえています。

厚生労働省の研究班の調査によると、「腰痛持ちは全国で2800万人以上いる」と推定されます。運動を行っている人でさえも、腰部の筋肉が硬く、痛みを抱えている人もいます。

そのため、腰痛にならないための姿勢やストレッチを勉強することは大切です。その中で、「前傾姿勢」になると、腰痛・肩こり・膝痛が発生することがわかっています。

特に、スポーツ選手の場合、腰・膝の痛みを「前傾姿勢」によって、生じる可能性が高いです。そこで、今回は、前傾姿勢が身体に及ぼす影響と、その対策法について解説していきます。

前傾姿勢による「反り腰」が腰痛を招く

現代人が抱える腰痛は、前傾姿勢による「反り腰」によって起こります。反り腰とは、腰が前に反って腰椎(腰の骨)が前方に歪んでいる状態を指します。

腰には5つの骨があり、骨盤が垂直に立っていると、腰椎は少しだけ湾曲し、ほぼ垂直に5つの骨が積み重なった構造になります。見た目もきれいで、筋肉に負担なく姿勢を構築できている人の場合、骨盤、腰椎ともに真っすぐに立っています。

しかし、骨盤が前に傾くと、腰椎が前方にずれます。すると、骨盤が前傾し、反り腰の状態になり、腰部にある「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」が張ります。これによって、背骨回りを通っている神経が圧迫され、腰痛を招きます。

実際に、私は多くのスポーツ関係者、一般人の身体に触れて、姿勢を見てきました。その中で、ほぼ全員の方が前傾姿勢によって腰痛を発症しているのがわかっています。そして、腰痛の痛みは前傾姿勢を改善するのが、最も早く確実に、だれでも痛みを解消できる方法といえます。

さらに、前傾姿勢が癖づいてしまうと、腰痛のみならず、膝痛も起こります。腰の5つある骨の内、上から3番目(腰椎三番目)は神経学的に膝関節とつながりを持っています。前傾姿勢によって腰椎2、3番目が前方にずれると、膝関節につながる神経が圧迫されてしまい、痛みを抱えます。

猫背では、腰痛にならない理由

では、猫背姿勢によってはどのような痛みが発症するのか?猫背姿勢の場合、腰痛ではなく、肩こりを患いやすくなります。

書籍、健康情報には、「猫背になると、腰に負担がかかる」と説明することがありますが、腰痛の本質的な原因は「前傾姿勢」から来ます。なぜなら、猫背姿勢は脊柱起立筋がゆるんだ状態であり、背中周りの神経が圧迫されづらいからです。

腰痛とは、腰椎周りの神経が圧迫されている状態を指します。腰の痛みを取り去るためには、腰周りの神経の圧迫、血管の詰まりを改善しなければいけません。神経系・血管の詰まりがなければ、栄養分がきちんと腰回りの組織・筋肉にいきわたります。脳からも情報がきちんと筋肉に行くようになり、腰回りの筋肉が柔軟に保たれます。

しかし、「前傾姿勢」になると、背筋が張ってしまうため、背筋周りの神経・血管が詰まってしまいます。このつまりが続いてしまうと、栄養分の供給がうまく行われず、血流低下や筋肉の柔軟性低下につながっていくのです。そうして、「ここの部位に異常が出ていますよ」と合図を示すために、痛みを発する物質が流れます。

上記のような反応は猫背姿勢の場合、起こりにくいといえます。なぜなら、猫背姿勢の場合、背筋が張った姿勢ではなく、むしろ緩めている姿勢だからです。つまり、神経に干渉がないため、腰回りに痛みが発症しづらいといえます。

おそらく、「猫背姿勢だと腰痛になる」といわれている情報は、猫背自体が腰痛につながっているのではないのです前傾姿勢によって腰痛を招いた方がその痛みを緩和するために、猫背姿勢にしていると考えられます。つまり、腰痛を患った後に、猫背になっていると強く推測できます。そのため、猫背姿勢で腰に痛みを抱えている人も、自分の骨盤が前傾しやすいか確認するのが大切です。

本当に前傾姿勢によってスポーツ技術は向上するのか?

このように、スポーツ選手が前傾姿勢になりやすい理由として、「前傾姿勢は運動パフォーマンスを向上するために必要である」という情報があるからです。

野球のピッチャーの投げる動作は、「パワーポジション」を表現し、骨盤を前傾させるように説明することがあります。マラソンでは、スピードを伸ばすためには、黒人ランナーのように「前傾姿勢」で走るのが適していると説明されます。ゴルフの世界でも、腰を反り気味にさせてスイングをする選手もいます。

前傾姿勢を取ると、背筋を含め、太もも裏側、ふくらはぎといった筋肉が張ります。こうして、スポーツの世界では「骨後ろ側の筋肉が張ることで、パフォーマンスが向上する」と説明されることがあります。

ただ、スポーツ選手の動きを見ると、骨盤前傾にそこまでこだわらなくても良いことがわかります。

例えば、世界で一番本塁打を打っている選手(王貞治)は骨盤を垂直にして構えます。女子フルマラソンの世界で、金メダルを取った高橋尚子選手の走り方を見ると、そこまで骨盤が前傾していないのがわかります。

彼らの動作中のフォームを見ると、骨盤は「少しだけ前傾している」だけであるのがわかります。確実に言えることは、過度に骨盤を前傾させない方が背骨に過度なねじれがないために、体幹部全体の筋肉に力みが出にくくなります。

そのうえで、重心移動も行いやすいです。

骨盤が前傾すると、体を前方に送りやすくなるのは間違いありません。しかし、それは「ほんの少し前傾した状態」であって、自分で意識するくらい骨盤を傾けるわけではありません。もし、骨盤を傾けようと出尻の姿勢になったり、太ももの裏側を故意に力ませてしまったりしたら、背筋の張りが強くなりすぎてしまい、腰痛や膝痛のリスクを高めてしまいます。

スポーツにおける前傾姿勢の改善法

そのため、腰や膝痛の発症原理を理解したうえで前傾姿勢を改善しましょう。以下にその対策方法を解説します。具体的には「大殿筋をゆるめる・鍛える」「炭水化物を制限する」などが挙げられます。

 

外旋筋をゆるめる・鍛える

まず、大殿筋をゆるめることで、骨盤を垂直に立てるようにしましょう。大殿筋とは、お尻を締めるように働く「外旋筋」群に含まれます。この筋肉をゆるめるようにします。

具体的な方法が手で指圧することが挙げられます。たとえば、大殿筋をゆるめる場合、横向きに寝て、腰骨辺りに手を当てます。次に、親指を立て、腰骨周りを指圧してもらいます。このように押されると、痛くて気持ちいい箇所があります。このように、前傾姿勢が癖づくと、お尻を締めるための外旋筋が凝り固まります。すると、その周辺の神経、血管系につまりが生じます。そこで、指圧によって、神経や血管を押すと、老廃物が流れ、筋肉の凝りがほぐれるため、「痛気持ちいい」と感じるのです。このように、腰骨回りには大殿筋に関係する神経が含まれているため、指圧して神経のつまりをとるようにしましょう。

さらに、大殿筋を鍛えるように努めます。大殿筋は鍛える方法として、「バックキック」「ヒップアブダクション」を行うようにします。このポーズを3~5回、10秒間静止し、を毎日行うようにします。

さらに、普段の姿勢では、外旋筋を鍛える方法として、「足踏みのポーズ」を意識するようにします。足踏みのポーズとは、両足を最大限に広げて、立つポーズです。当健康所でお伝えしている「お尻を締めるためのポーズ」です。この姿勢を取ると、お尻の筋肉が最大限締まり、背筋が伸びるのがわかります。

注意したいことが、足を広げるときにできるだけ「両太ももを外側に向けるように意識する」ことです。足先だけ外側に向けただけでは、外旋筋を締める力は養われません。必ず、足先だけでなく、膝から太ももの付け根にかけての骨を外側に向けるように意識してください。

このポーズはバレェの世界で実践される「プリエ」のポーズと同じです。ぜひ、毎日意識するようにし、お尻の筋肉を占めた立ち方を覚えるようにしてください。

炭水化物を制限する

栄養分の中には、「炭水化物」があります。この物質は、名前に「水」という漢字が含まれます。

この物質の中に「水」が入っている理由として、「炭水化物」が「水」分子と大きく親和することが挙げられます。炭水化物の中で、エネルギーとして使用されなかったものは体内に蓄積されます。しかし、体内に残った炭水化物は水分を含むようになり、「むくみ」となってしまうのです。

このむくみはふくらはぎやお尻にたまります。そのため、炭水化物を過剰に摂取している方は、お尻周りを指圧すると、水がたまったようにむくんでいる場合があります。その場合、お尻周りの筋肉の収縮活動に影響が出てしまうため、炭水化物の摂取量を少なくするように意識することが大切です。

まとめ

以上の内容をまとめます。

・スポーツにおける腰痛は前傾姿勢から起こる

・前傾姿勢を改善するためには、お尻の筋肉をゆるめる、炭水化物の摂取量を少なくする

腰痛の原因は前傾姿勢が関係しています。このような事態を避けるために、骨盤を立てて、背中に張りのない姿勢を構築してください。

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