弓道の観点から考える、「股関節」を最大限に活用する方法

弓道の観点から考える、「股関節」を最大限に活用する方法

スポーツにおいて、よく股関節の重要性を説明されます。

ランニング=効率よく走るため

ボクシング=キック力を高めるため

野球=下半身の力を活用してバッティング、ピッチング動作を行うため

股関節は脚の付け根についているため、股関節が動けば、それにつながる脚や胴体も連動して動きます。そのため、股関節の使い方を学ぶと、下半身の使い方や全身の筋肉の動かし方がうまくなるのです。

ただ、大部分の人は、股関節の動きが悪くなり、脚が前方に振り出せなかったり、効率良く脚の筋肉を働かせなかったりします。この理由として、「動作中に、股関節をむやみに意識しすぎる」ことが挙げられます。

そのときのポイントとして、「股関節を意識しすぎない」ことが挙げられます。 以下にその具体的な手法について解説していきます。

股関節を意識すると、股関節周りの筋肉が硬くなる

ランニングでは、股関節を意識して走る方法として「膝で脚を出すようにしなさい」「お尻を使って脚を前に出しなさい」と言われます。また 、野球であっても、「股関節で打つ」などといった表現がされます。

股関節周りには太ももの前側についている筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)、へその下の腸周りにある筋肉(陽腰筋:ちょうようきん)、お尻周りについている筋肉(大臀筋:だいでんきん)の三つとつながっています。この三つの筋肉が動くと股関節も動きます。

これらの筋肉を意識的に動かすのも、大切かもしれません。しかし、これらの筋肉には「骨盤の位置・角度を安定させる」という大切な役目も持っています。つまり、これらの筋肉を意識的に動かすあまり、骨盤が適切な位置から必要以上にずれることがあります。

次のような実験をします。まず、脚を上げるときに股関節を意識してあげてください。そして、脚を軽く上げたらその状態で静止しましょう。すると、股関節を意識すると姿勢がぐらつきやすいのがわかります。

一方、股関節で脚を上げるのではなく、首を伸ばし、両肩を落としてください。そして、首の後ろを伸ばすと、胸郭が同時に上に引きあがります。この動きと同時に脚が上がるように意識し、脚を上げましょう。すると、先ほどの意識と比べて、楽に脚が上がり、安定性が増します。

これは、後者の意識のほうが、股関節周りの筋肉に無駄な力みなく、脚が上げられるからです。

この動きが実際のランニング動作になれば、スタミナに直接関係します。つまり、股関節の使い方を学ぶのも大切ですが、それを意識しすぎると、かえってパフォーマンスが低下する場合もあるのです。

意識を変えるだけで、脚を上げる威力や高さが変わる

次に、意識を変えるだけで股関節の上げやすさが異なるのも体感できます。

はじめに、一対一になります。その状態から一方が片方の脚を上から押さえます。そこで、「脚を上に上げる」運動を行うとします。

はじめに、「股関節」を意識して脚を上げるようにします。すると、相手に自分の脚を抑えられているために、上方に上げにくいです。

そこで、意識の仕方を変えます。「首を伸ばして両肩を落とした」姿勢を構築し、みぞおちから腸腰筋あたりを意識して脚を上げます。すると、先ほどに比べて、押さえつける力に対抗でき、脚を上げやすくなります。

この理由として、股関節を上げる際に、「骨盤を立てる力」「脊柱を真っすぐに立てる力」など、複数の力が働き、体全体が安定しながら脚を上げられるからです。つまり、同じ脚を上げるという動作でも、「股関節」を意識するのと「みぞおち・腸腰筋」を意識するのとでは、脚を上げる力は大きく異なるのです。

では、スポーツにおける股関節の重要性を整理します。例えば、ランニング動作では、「走っている最中に着地衝撃に耐える」のは重要です。そのためには、着地した際に、股関節の進展運動(着地側の脚を曲げた状態から真っすぐに伸ばすこと)を行う必要があります。

ここで、股関節を意識するのではなく、「首の後ろを伸ばす」「両肩を落とす」「みぞおち、腸腰筋を伸ばす」ようにします。このように、「首」「みぞおち」といった脚から離れた身体の部位を意識すると、着地衝撃が軽く感じるのがわかります。

もし、着地する際に、「首の後ろ」「みぞおち・腸腰筋」といった部位を意識できるようになれば、着地する際の「足音」も小さくなります。この走り方を身に着けるようになると、ほとんど脚の筋肉に張りがないまま、速く走れるようになります。

実際に、私はハーフマラソンを全力疾走で完走した後も、疲労が少なくなっているのも体感できています。さらに、トライアスロン、ウルトラマラソンでも同様に完走に成功しています。

同じことをボクシング・野球にも応用します。ボクシングでも脚を上げる際には、脚自体の筋肉をできるだけゆるめるようにし、みぞおちあたりを意識してキックをします。すると、少ない力で高く脚が上がり、キック力も高まります。野球では、ピッチングやバッティングの際に股関節を意識しすぎず、首の後ろ・両肩・みぞおち、腸腰筋に気持ちを置くようにします。

もし、股関節をスポーツ動作で最大限に活用したいのであれば「脚」ではなく、「姿勢」に注目することが大切となります。つまり、股関節を学ぶのではなく、「上げる際における姿勢」を大切にするようにしてください。

スポーツで股関節を使う方法

では、すべてのスポーツにおいて股関節をスムーズに使うようにするためにはどうすればよいでしょうか?

  1. 「股関節」という言葉を意識しすぎない
  2. 脚の筋肉はゆるめる
  3. 膝はゆるめておく

 

これらの内容を意識しておけば、股関節はスポーツでかなり動かしやすくなるでしょう。具体的には、以下のことが体感できるようになります。

 

ランニング

・着地音が少なくなる

・走る際に脚を大きく振り上げやすくなる

 

ボクシング・サッカー

・脚を楽が上がるようになり、力も強くなる

 

野球・ゴルフ・テニス

・上半身の力みが少なくなり、下半身が安定しながら振る動作を行える

こうしたことが実際にできるようになるので、応用をしてみてください。きっとあなたのスポーツでよい効果が表れるはずです。

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