仕事や普段の生活を送る中で「最近疲れやすくなった」「体がだるい」といった症状に見舞わされることがあります。こうした症状が続くと「慢性疲労」のおそれがあります。疲労が積み重なると、仕事やスポーツでのパフォーマンス低下につながります。
そのために、食事を変えたり睡眠をとったりして改善策を講じなければいけません。ただ、現実的に疲労改善を試みるには、「疲労がどの原因から来ているのか?」ということをきちんと分析しなければいけません。この理由として、疲労のくる原因はさまざまなものがあるからです。
例えば、疲れたときの対策法として「睡眠をとる」ことが挙げられます。しかし、人によっては睡眠をとったとしても、疲労がとれなかったり、元の状態に戻らなかったりします。疲労といっても単純に寝るだけでは改善できないことがあります。そのため、あなたの疲労の原因がどこから来ているのか確認するようにしてください。それによって、対策方法が異なります。
疲労の原因は3種類ある
まず、疲労の原因として、「①FF(ファティーグファクター)」「②乳酸」「③体内の水」の三つが挙げられます。これら三つの物質が増加したり、物質の質が低下することで、疲労が起こります。
まず、①~③による疲労が起こる詳細について解説していきます。
疲労は脳から来ている
まず、体全体が疲労の症状に陥ってしまう一つの原因として、「FF(Fatigue Factor:疲労物質)」が挙げられます。脳科学の世界では、「疲労は脳からきている」と説明されます。2008年の疲労学会により、人の体は脳内にFF(ファティーグファクター)がたまることで疲労の症状を発症することがわかってきています。
脳から疲労がくるタイプとして、頭を使う職業の方が多く当てはまります。普段、デスクワークや仕事でストレスがかかると、脳内のFFがたまり、身体全体に疲労の症状が現れます。
本来、疲労のイメージとしては、身体を動かしすぎて、「体に疲労がたまる」ものとされていました。しかし、現代人は仕事や日常生活での人との関わり合いの中でストレスを抱え、脳内に活性酸素などの細胞を壊す物質が発生し、疲労物質が発生します。そうして、脳に疲労物質がたまると「だるい」「しんどい」という状態に陥ります。
この「だるい」「しんどい」という気持ちは思考や運動のしすぎによって、脳から「これ以上動き続けると体を壊すよ」と合図しているともいえます。痛みや疲れによって身体が壊されないようにするための一つの警告ともいえます。そのために、自律神経の働きが低下します。
そのため、まず疲労の具体的な改善方法として挙げられるのがFFの量を減らすことが挙げられます。そのためには、FR(Fatigue recovery)と呼ばれる物質の量を増やすことがあげられます。FRとは、傷ついた細胞を修復する役割を持つ物質です。FRの量を増やすことで、FFが減少し、疲労を改善することにつながります。
具体的には、「睡眠」「食生活を変える」ことが挙げられます。睡眠では、睡眠時間を伸ばしたり、睡眠の質を変えることが挙げられます。「食生活を変える」ことでは、鶏肉、ポリフェノールを含んだ食品(リンゴ、赤ワインなど)を食べることが挙げられます。つまり、FFの量の増加によって疲労が出ている場合は、睡眠と食事を変えることで、解決に向かいます。
乳酸や細胞を壊す水にも注目する
ただ、こうした睡眠をとったとしても、確実に疲労がとれない可能性があります。それは、疲労の原因は他に「乳酸」「生体の水」が挙げられるからです。
身体はストレスや負荷が体にかかると、乳酸を分解したり、体内毒素を解毒する能力が低下します。これらの能力が低下すると、乳酸や体内毒素によって疲労感が生じます。
一時的に疲労を改善するためには、FFを減らす努力することには異論はありません。しかし、私の治療してきた患者の中には、毎日夜10時に寝て、8時間以上寝ているのにも関わらず、毎日疲労感に襲われて困っている方もいます。つまり、生活習慣を変えただけでは、疲労感はなくならず、単に睡眠やFFを減らしただけでは、疲労が改善されない場合もあります。
本質的に疲労をなくすためには「乳酸の分解能力」「体内毒素の解毒能力」を高めることにも注目していく必要があります。
乳酸の分解能力を高めるには
人は食品に含まれる糖質・脂肪・たんぱく質によって体内でエネルギーを発生させます。この産生過程において、乳酸が発生することがわかっています。そして、体内の回路においては、乳酸を分解し、糖質に戻す「コリ回路」があることがわかっています。
陸上選手で瞬発力が高い人と持久力が高い人の違いとして、「乳酸をエネルギーに使えているか」にかかっています。持久系のスポーツ選手は普通の人に比べて、長い距離を走ったとしても疲れにくく、走ることができます。これは、持久系のスポーツを行うことで、乳酸の分解能力が高まってくるからです。たとえ睡眠をしっかりとったとしても、仕事やスポーツで疲れにくい人とそうでない人に分かれるのは体内にある乳酸をエネルギーとして効率使えているかにかかっています。
そして、乳酸の分解能力を高めるためには、有酸素運動を積極的に取り入れることが挙げられます。具体的には、散歩やウォーキングなどの軽い負荷をかけた運動を行うようにします。日々の生活で「歩く」「ジョギングする」習慣をつけることで、乳酸を分解する回路が回るようになります。
ジョギングを行う場合は、最低30分は行うようにしましょう。そして、走るときは、少しおなかをへこませて骨盤を立たたせます。その姿勢を維持しながら、腕や脚に余計な力を入れず、歩くようにします。これによって、初心者の方であっても、負担なくジョギングを長続きさせることができます。
ある疲労に関する書籍は「乳酸は疲労の本質的原因ではない」と説明する本もあります。しかし、実際には、乳酸が溜まることは筋肉の収縮活動を阻害し、身体が動きにくくなって疲労感を感じることは事実あります。つまり、疲労を改善するもう一つの経路として乳酸の分解回路をうまく回すことも大切になってきます。
体内の水分の質的低下によって起こる疲労
そのほかに、あなた自身の体内の水分の体液(生体水)の質が低下することで疲労感が大きくなります。
生体水の質が低下するという言葉がいまいちわかりにくいので、少し詳しくお話します。まず、人間の身体には70%の水があります。生体水の通常の状態は「普通の水より微細である」「栄養分の供給、伝達をきちんと行える」状態にあります。
生体水に汚れもよどみのない状態になれば、栄養分を必要な部位に送りこむことができます。神経伝達に必要なミネラルも筋肉に必要な栄養分も水によって包まれて送りこむことができます。しかし、身体にストレスがかかったとき、食品で化学添加物を大量にとっている場合、生体水の質は低下し、この運搬機能が低下します。
よって、必要なミネラルも栄養分も水を介して筋肉や内臓に適切に送りこむことができなくなります。それによって、身体に疲労感に襲われることがあります。人の体の70%は水でできています。体内の水を変えることが、本質的な疲労改善につながると意識を向ければ、疲労改善の道を開くことができます。
体内の水を変えるには
例えば、当治療所では、症状改善の指導の際に、飲み水の変更の提案をすることがあります。体内の水を変えることで、血流状態が改善され、栄養分やミネラルの供給をうまく回すことができるからです。
そのうえで、体内の水を変えるための方法について解説していきます。
・水を飲むようにし、飲料水・コーヒーは避けるようにする
・化学添加物を含んだ食品を極力避ける
・生体水を直接摂取する
生体内の水を変えるためには、水分補給を心がけるのと同時に、化学添加物など体内に害となる物質を避ける必要があります。まずは、添加物を含んだ食品を減らすことを心がけるようにしましょう。次に、水分補給は水を積極的に飲むようにし、体内の生体水の質を変えていくようにします。
また、当治療所では、日本で生体水を人工的に製造されている「オーブス水」があり、これを飲むことを推奨しています。いずれにしても、疲労と水分には密接な関係があり、本質的な改善には水の取り方を変えることが大切です。
このように、疲労が原因は生活習慣によってさまざまなものがあります。そして、あなたの体質や生活環境によって「脳」「乳酸」「生体水」のどれから来ているのかによって改善方法が異なります。まずは睡眠を十分に取るようにし、ジョギング、水分補給など総合的に体を変えるようにしてください。
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