日本人が食事で健康になるには「胃酸」に注目しなさい

健康な身体を構築するためには、食事法を変える必要があります。

私たちの身体にある細胞は古い状態から新しい状態へ常に更新されています。その際に、私たちが摂取している食事から得られる栄養素を使って新しい細胞に作り変えています。そのため、体によい栄養素をしっかり選んで、日々の食事に取り入れる心がけが大切となります。

そう思って、インターネットや本屋さんで本を見ると、世の中にはあらゆる食事法があるのがわかります。いったい何を選択すれば良いかわかりませんよね、そこで私の場合は、「日本人に合った食事法を選択しましょう」と提案します。そして、日本人にもっとも合う食事法が、「和食」です。

「和食」と言うとご飯に味噌汁、漬け物に魚料理、、、などを想像します。このような食事を日々続けることで、最低限必要な栄養素を摂取することができます。そして、和食を調べて行くと、日本人の体質に合った合理的な根拠が存在するのがわかります。

この詳細について、具体的に説明していきます。これから食事で健康な身体を考えていく際に、「日本人に合う食事」を第一に考えるようにしてください。

日本人の体質をまず、分析する

日本人が健康になるためには、まず始めに日本人の体質の特徴を理解する必要があります。これまで健康な食事法といえば、「ヘルシーオイル」「ポリフェノール」など栄養素にフォーカスが当たっていました。しかし、これからの食事法では「日本人の体質」という指標を一つもってください。

体質とは、これまで曖昧に語られてきました。ただ、近年遺伝子解析が急速に進み、体質とは「生まれた場所で先天的な特徴」と「その特徴を発揮するための後天的な環境」によって、説明されるようになりました。

そのように、日本人の体質や特徴を調べたところ、欧米人と身体の特徴が大きく異なることがわかりました。そのため、体質的に合う日本人の食事法は、欧米人の食事法と必ずしもあわないこともわかってきています。

日本で流行の食事法の大半が欧米から来ています。「日本人の体質は外国人と異なる」という前提を頭に入れてから、流行の食事方法を検討するようにしてください。その詳細について、以下に解説していきます。

日本人は外国に比べて、中性脂肪が蓄積されやすい

人種別に、脂肪の蓄積を分析したところ、日本人は欧米人に比べて、中性脂肪が蓄積されやすいことがわかりました。一方、外国人は皮下脂肪が蓄積しやすいことがわかっています。

そして、各地域の食事法の特徴を調べたところ、和食は「中性脂肪が減りやすい」ことがわかりました。外国人に、日本人の和食を摂取させたところ、中性脂肪の値が低下したという報告もあります。一方、海外で流行している糖質制限食事法は、「皮下脂肪を減らしやすい」ことがわかっています。ある実験で、糖質制限食事法と和食の2種類の食事法を実施させた結果、糖質制限食では、皮下脂肪の量が、和食では中性脂肪の量が低下したことがわかっています。

近年、オリーブ油など、健康に良い油を摂取する重要性を説明されます。しかし、日本人は油を摂取すると、中性脂肪になりやすく動脈硬化や心臓病を患うリスクがあります。体質から考えると、日本人の和食にある「魚」などの油によってもオリーブ油に含まれる脂肪酸は摂取できるため、オリーブ油を過剰に摂取する必要がないといえます。

日本人はアルコールの分解酵素が少ない

次に、日本人は、欧米人に比べてアルコールを肝臓で分解する酵素の働きが生まれつき弱いこともわかりました。アルコールを分解する力が弱い人は、飲酒によって、食道や大腸、肝臓などのがんを発症しやすいことも知られています。

そして、健康な食事法の中で「赤ワイン」が取り上げられることがあります。なぜなら、赤ワインに含まれるポリフェノールは抗酸化作用を持ち、悪玉コレステロールの酸化を妨げ、動脈硬化を防ぐからです。

ただ、アルコールの分解能力が先天的に弱い場合、赤ワインを摂取することによる害のほうが大きくなります。さらに、日本は心臓病の発症率が世界で最も低いため、悪玉コレステロールによる心臓の血管のつまりを気にする必要もないといえます。

その場合、ポリフェノールは果物、緑黄色野菜、大豆など身近な食物にいくらでも入っているため、あえて過剰にとる必要がないといえます。 それより、アルコールによる発がんの問題は欧米人より日本人のほうが深刻です。

いかがでしょうか。このように、日本人の体質は欧米人と大きく異なります。ただただ世の中でなんとなく良いと言われる食事法を選択すると、メリット以上にデメリットが大きく出てしまうのがわかっています。そのため、日本人に合う食事法をきちんと選択し、実践するようにしてください。

日本人にあう食事法:胃酸の分泌を高める食事法

では、その中で日本人に合う食事法を考えていきます。日本人は「中性脂肪が蓄積されやすい」「胃袋に問題を抱えやすい」といった体質を考慮すると、「胃酸の分泌を高める食事法」が適しています。

胃酸とは、胃袋で分泌される食べ物を消化・吸収する液体です。胃液自体は高い酸性を持つ「塩酸」で構成され、そのほかにタンパク質を分解する「ペプシン」、脂質を分解する「リパーゼ」も含まれます。こうした成分によって、あらゆる食べ物を分解できるのです。

もし、胃酸によって食べ物の分解が行われないと、次に通る小腸で栄養分の吸収がうまく行われません。すると、全身の細胞に運ばれる栄養素の量が少なくなります。すると、「エネルギーの生産」「古い細胞の修復作業」「タンパク質、酵素といった生体で働く物質の製造」がうまく行われなくなります。

世界で一番「胃ガン」や胃にまつわる炎症が多い国は日本だと、調査でわかっています。さらに、日本では、「逆流性胃炎」「過敏性腸炎」など、胃腸に関わる難病が年々増加しています。日本人の食生活を振り返ると、島国であり、水が豊富で肥沃な大地も持ち合わせていました。そのため、他の国に比べて農耕が行える環境を持っていました。

そのために、穀物を多く取り入れられるようになり、穀物中心の生活になりました。穀物に含まれる炭水化物は、胃酸ではなくて唾液で分泌される「アミラーゼ」によって、分解されます。そのため、胃酸を必要とする機会が他の国に比べて少ないです。さらに、また、年齢とともに胃酸の分泌が低下してくるため、栄養吸収がさらにうまく行われなくなります。

つまり、日本人が今後意識しなければいけないことは「特定の栄養素」ではなく、「栄養吸収」がきちんとできる身体作りです。そのためには、胃酸の分泌能力を高めることを行う必要があります。

日本人は胃腸が外国人と異なる

さらに、興味深い話として、「日本人の胃袋の構造」と外国人の胃袋の構造は異なることがわかっています。

外国人は「牛角胃(ぎゅうかくい)」と呼ばれる胃の形をしています。牛角位の胃は胃袋の下部が下方にそこまで垂れ下がっていません。そのため、食べ物が胃袋内に残りにくく、消化されやすい。一方、日本人は「鉤状胃(こうじょうい)」と呼ばれ、胃袋が下に垂れ下がった構造をしています。この場合、胃袋に食べ物が残りやすいです。

その結果、日本人は少量食べただけで「胃袋に食べ物が残った感じ」が出てしまうため、おなかがすきにくいです。あるいは、胃袋内の酸性度が強くなりすぎると、ヘリコバクターピロリ菌と呼ばれる菌が増殖し、胃袋内の酸性度を下げようとなります。このピロリ菌が過剰に増え、ディスバイオシスと呼ばれる菌が増殖することで、胃潰瘍などが発生します。

例えば、炭水化物は日本人の胃袋において、消化にむいています。鉤状胃の特徴である下に垂れ下がった部位に食物をためて胃酸で分解します。その後に、胃の蠕動運動(ぜんどううんどう)により、胃袋の出口まで押し上げて、すりつぶして分解します。一方、外国人の場合、たんぱく質と脂質の消化吸収は、小腸が行うため、スムーズに食物が胃から小腸に送られるほうが適しています。そのため、牛各胃の構造が適しています。

ただ、日本人の胃袋には、デメリットがあります。それは、食物が胃袋内にとどまりやすく、胃酸が分泌された状態が続くため、その間に胃が荒れてしまうのです。胃酸が過剰に分泌されてしまうと、胃袋内の酸性度を調整する機能が働きます。

そこで、ヘリコバクターピロリ菌が賛成され、胃のPHの状態を整えます。ピロリ菌の特徴として、周辺の酸性度を弱める役割をもっています。当時の日本人はピロリ菌の増殖によって、胃酸の力が外国人に比べて弱くなりやすいとわかっています。

日本人が胃に負担をかねないようにするためには、できるだけ胃袋内に食物を残りすぎないことが大切です。そのためには、大前提として胃酸がきちんと出るように食事や料理を行うこと、胃に負担をかけないように、消化吸収しやすい工夫(できるだけ多く噛んで食物を小さく分解する)を行う必要があります。

胃酸の分泌を高めるには

そして、胃酸の分泌を高めるには、食事前の行動を見直す必要があります。

例えば、私たちが唾液がついでてしまう瞬間を想像してください。

朝起きて、布団から出てみたら、母親か奥さんが料理を作っていたとします。調理している最中であれば、食べ物の「におい」がしてくるはずです。フライパンで調理している炒め物のにおい・・・もしも、そのにおいをかいだら思わずよだれが出るはずです。

あるいは、「音」もそうです。包丁で食材を切る音、フライパンで調理する音、このような音を聞くと食欲が出てきて、よだれが出てしまいます。さらに、「色」についても同様です。一品料理ではなく、様々な種類の料理、例えばご飯、味噌汁、野菜、漬け物、肉・・・など、様々な種類の食べ物が出てきたらどうでしょう。単品料理に比べて、食べようという気持ちがわき出てくると思います。

これが、このような外界の刺激はなく、いきなり電子レンジでチンして出された食事であればどうでしょう。おそらく唾液はそこまで出ないと思います。人の顔の内部には、迷走神経と呼ばれる神経がついており、「目」「耳」「鼻」とつながりを持っています。そして、迷走神経が刺激されると、唾液、胃液といった食物を分解する消化液の分泌を促進します。このように、唾液などの消化液は「五感」を刺激することででていることがわかります。

胃酸の分泌を高める食事法で大切なのが「食事前の行動」です。栄養素でも大切なことがありますが、それらをただ取るだけでは効率的に体内に吸収されません。うまく胃酸が出るように五感を活用する工夫を行うことで、必要な栄養素を体内に吸収することができます。胃酸の分泌を高め、食べ物をできるだけ細かく分解することで、胃に負担がかからない食事ができます。

さらに、自炊をされた経験がある方なら、「料理をしているときに唾液がいっぱいになっておなか一杯になった気分」を経験をされた方もいるでしょう。それは、料理をすると、手を動かしたり、道具を用いたりして頭を動かすからです。さらに、料理をしている風景やにおい、音など消化液を分泌するための五感がフルに働くため、大量の唾液が出ます。

このように、五感を刺激することで、胃液の分泌が促進されます。世の中には、身体に得良い栄養素、〇〇病に有効な食事など、すでに「栄養素」に関する知識は十分に出回っています。それらの知識ももちろん大切です。そして、その栄養素をきちんと活用できるように日々努めていきましょう。

そのためには、胃酸が重要です。胃酸を普段から分泌できる状態を維持し、細かく食物を分解することで、多くの栄養素を細胞内に吸収できるようになります。次の項では「あなたの胃酸が分泌できているか」の確認方法について解説していきます。まずは、あなたがきちんと胃酸が分泌されているか確認するようにしましょう。

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