全てのスポーツのフォームの崩れを改善できる「首」の向け方理論

全スポーツのフォームの崩れを改善できる「首」の向け方理論

スポーツでやみくもに練習したりテクニックにとらわれたりすると、怪我をする可能性があります。無理な体の使い方や部分的な筋肉の動かし方は、身体を効率よく活用できないからです。 スポーツの大半が全身運動であり、全身の筋肉を活用します。そのために、スポーツの実力を伸ばすためには、体幹部を含めた複数の筋肉を連動させて動かす必要があります。

そこで、体幹部の筋肉を効果的に働かせるのに有効な方法として、「首の向け方を変える」ことがあります。

「首」をある方向に向けると、腕を曲げ伸ばしやすくなる

顔を的方向に向ける動作を弓道の世界で、「物見(ものみ)」を入れるといいます。あなたは、弓を引くときに顔を的方向に向ける理由をご存知でしょうか。 多くの人は「的を狙うため」と思うでしょう。しかし、顔を的方向に向けるのは、弓を引く動作において重要な意味を持っています。 それは、顔を左に向けると、左腕が伸ばしやすくなることです。

弓を押すときは「左拳」「左腕」「左肩」の筋肉を動かします。しかし、弓の抵抗力は左拳と左肩にかかりやすいため、力負けして左肩が上がってしまうことがあります。そこで、首を左に向けます。すると、首を向けた側に背骨が少しねじれます。これにより、腕を的方向に伸ばしやすくなります。 これにより、弓をさらに数センチ的方向に押し込めるため、力強い矢が飛びます。また、この背骨のねじれにより、もう一つ特徴的な動きを可能になります。それは、「首を向けた方と逆側の腕を曲げやすくなる」ことです。

弓道の世界では、この働きを用いて右肘を使いやすくします。右肘を曲げて腕全体を固めることで、拳のブレを少なくし、矢を放つことができます。

このことからわかることは、手足を動かす動作を改善するには、腕自体ではなく「首の向け方」に注目することが大切となります。弓を適切に押し開くのにも、「腕の動かし方」ではなく、「首の向け方」が大切となります。

腕や脚の動きを変えるためには、体幹部の動きから変えるのが効率的です。そこで、首の向け方を変えることで、背骨がねじられ、体幹部の動きを変えることができます。その結果として、腕・脚の動きも変わってくるのです。

首回りには、「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が耳の後ろから鎖骨にかけて生えています。この筋肉は3つ身体の動きに関わる重要な役割があります。

  1. 頭部へ酸素を送る
  2. 頭部の位置を整える
  3. 肩関節の位置を整える

これらの役割の内、スポーツ動作を改善するためには、③にあたる肩関節の位置を変更する必要があります。首の向け方を変えると、肩関節の動きや位置が変わります。このように、体幹部の動きを別の角度から改善することもできるのです。 

首の向け方を変えてスポーツの技術を伸ばす

では、「首を向けて腕を曲げ伸ばしやすくする」原理をスポーツに応用していきます。様々なスポーツに応用可能であり、首の向け方を変えることで、背骨・体幹部の筋肉まで連動して活用できます。 例えば、野球のピッチングの動作で球を投げる際に、首をグラブ側に少しねじるようにします。すると、今より球速が上がります。

昔のピッチャーのフォームを見ると、一流投手は投げた後の首が後方にねじれて帽子がずれていることが多いです。これは、ボールをリリースする瞬間に首関節まで活用して、体幹部の筋肉を使っていたことがわかります。

サッカーであれば、パスをするときに蹴り足の方向と逆に首をねじると、キック力が上がります。サッカー界の一流プレーヤーであるロナウジーニョ選手は、味方にパスした後の姿勢で首がねじれていることがあります

通常であれば、パスを出すときは蹴りたい方向に向けて顔を向けるはずです。しかし、あえてパスする方向と違う方向に顔を向けることで、相手にフェイントをかけるだけでなく、蹴る力も強くなります。

他にもボクシングであれば、相手にアッパーを繰り出すときに、あえて相手に顔を向けず、首を後方にねじるとパンチの威力がさらに高まります。

つまり、一流選手を含め身体に負担なく体を使うためには、スポーツ動作の中で「どのように首を向けているか」ということに注目してくださいこのように首の働きを理解して応用すると、あらゆる動作の向上につながります。

あらゆるスポーツに首の向け方を応用する

さらに、首の筋肉をゆるめることで、あらゆるスポーツに応用しましょう。 水泳 水泳のクロール動作は、息継ぎの際に、右アゴが上に上がりやすいです。こうした人の場合、泳いでいる最中に、知らずに「右胸」だけ開きやすいです。

これは、水泳の息継ぎ動作で、顔を右側だけ向け続けてきた影響です。

そのため、意識的に左腕をかく際に、少し左アゴを左側によせながら引くようにします。すると、腕のかき動作の際に右側の胸が開きづらくなり、水泳で疲れにくくなります。

バスケ、サッカーのタックルプレイ

上半身の力みを抜き、頭部を引いて相手に接してみましょう。 通常、競り合いになる場合、体幹部の筋肉が大きい人が、有利になります。しかし、頭部を引くことで、肩関節と胸部の関節が安定し、身体のぶれが大幅になくなります。すると、体幹部の大きい方にぶつかっても当たり負けにくくなります。同様の理屈で、サッカーでのコンタクトプレーでも応用できます。

柔軟体操

少し、運動とは別の話になりますが、首の後ろの筋肉をゆるめると、柔軟体操がしやすくなることもわかっています。前屈を行う際に、頸椎の筋肉をひたすらもんでみましょう。「後頭部の付け根の筋肉」「耳周り」の筋肉も自分で触りほぐすようにします。これによって、背中回りの筋肉もゆるむため、前屈運動がしやすくなります。

実際に首を動かすには?

このように、首の向け方を変えるだけで、様々なスポーツ動作を改善し、技術を高めるのは可能です。ただ、現段階で首の筋肉が硬くなっている場合、首を向けようとしても、体幹部の筋肉まで連動して動きません。

例えば、歩き動作の際、首を左右に動かしながら歩くことができるでしょうか?もし、首の後ろが伸び、余計な凝りがなければ、左右に首を振りながら歩いてもふらつくことがありません。しかし、多くの方は、首を左右に振ると体がぶれてしまいます。

現代人は仕事において頭をよく使うため、常に頭部は酸素不足に陥ってしまいます。さらに、武道、柔道の受け身のように首自体を動かす運動がほとんど行われないため、頸椎の動きが悪くなっています。そのため、首を向けようとしても、実際のスポーツ動作で体幹部の筋肉まで連動して動きません。

現状の身体の動きをさらに変えるためには、体幹部の動きを変える必要があり、そのために「頸椎が柔軟に動く」ことは重要です。体幹部の筋肉をより働かせるために、首自体の筋肉を柔軟に動かすようにしてください。

首の筋肉を緩める方法

もし、首関節が動きにくく、実際に頸椎をゆるめたいと考えているのであれば、まずは「後ろにそらせる」「左右に傾ける」体操を実践するようにしましょう。

まず、立つ姿勢で、おなかをへこましてください。次に、自分の限界でいいので、首を後ろに反らしてください。それと同時に両肩を最大限に落としてください。すると、首の前側の筋肉がストレッチされることがわかります。その後に、左右、斜めと首を傾けてみましょう。これにより、あらゆる方向に首筋の筋肉をストレッチできます。

あなたがスポーツでパフォーマンスを向上させたい場合、頸椎の筋肉を伸ばし、ゆるめることを視野にいれるようにしましょう。そのうえで、「首を向ける→背骨がねじれる→腕が動く」といった順序で、体幹部の動きを変えていけば、スポーツパフォーマンスは向上していきます。

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