現代スポーツにない走るスピードの上げ方

現代スポーツにない走るスピードの上げ方

脚力・走るスピードを高めると、あらゆるスポーツのパフォーマンス向上につながります。現代のスポーツでは、走るスピードを高めるトレーニングとして、「筋力トレーニング」「スプリントトレーニング」「インターバルトレーニング」などがあります。

この他に、短距離の世界では、「ラダートレーニング(脚の回転数を速めるトレーニング)」、もしくは「腕振り」の意識を変えて、走るスピードを向上させる方法があります。

ただ、体の仕組みに基づいて、筋肉の働かせ方を変えていくと、別の方法で脚力やスピードを上げることができます。そのポイントは「頭部」があります。

頭部の位置を高くすると、走るスピードを向上させることも可能です。以下にその具体的な手法と詳細について解説していきます。

速く走るには:頭部の位置を高くする

弓道の観点から説明すると、「頭部」の位置を正すことで、走るスピードを向上させることも可能です。

少しアゴを引いて、鼻さきがへそ部と垂直に交わるようにします。次に、少しアゴを引いたら首の後ろを伸ばすようにしましょう。 この状態で首の後ろに手を当てると筋肉が少し張る感じが体感できます。次に走る動作に応用するときは、なるべく「腕」や「脚」に力を入れないようします。垂直に伸ばし続けている「首」を斜め上方に伸ばすようにしましょう。

そして、「首を斜め上方」に伸ばし続ける意識を切らさないようにします。すると、上体がやや前傾したまま重心が前方に移動し、この姿勢を維持し続ければスピードがどんどん加速していきます。このスピードに乗るように、「首の後ろ」「胸郭」を上に引き上げるような意識で走り続けます。

これによって、「脚がふりやすい」「動かしやすい」「着地が軽くなった」と実感できれば、通常より少ない力で速く走ることができます。 なぜなら、走っている最中に頭部の位置が高くなると、以下の二つの効果が得られるからです。

・首の後ろが伸ばされ、頭部が安定する

・蹴る動作が少なくなる

首の後ろが伸ばされると、姿勢全体が安定する

頭部の位置が高くなり、首の骨に無駄な湾曲がなくなれば、「耳」の位置が安定します。耳には「三半規管(さんはんきかん)」と呼ばれる平衡感覚を司る器官が存在します。 もし、顎が前に出すぎていると、首関節が上方向に伸ばされず、耳の位置が安定しなくなります。これにより、「歩く」「走る」「立つ」際の姿勢の安定度が低下し、走るスピードが低下するのです。

つまり、頭部の位置がずれていると、動作中に身体の重心が前後左右にずれやすくなるのです。

試しに、「耳の安定度」を確かめる実験をします。まず、二人一組になって両手で相手の両肩をつかみます。このとき、両手を使って相手の体を動かしたとしても、なかなか倒れません。 そこで、両肩ではなく、相手の両耳に軽く両手を添えます。そして、相手の頭を軽く持つ感じにして、顔を右にひねるように曲げてあげます。頭をひねられた側は顔だけでなく、両肩、両腰などあらゆる部位が一緒に崩れるのがわかります。

この他に、以下のような実験でも簡単に「耳の位置が定まらないと姿勢の安定度が下がる」のを体感できます。まず、アゴを引いて首の後ろを伸ばして立ちます。そこで、もう一人の相手に鎖骨あたりを押してもらいます。押された側は胴体がそこまでブレナイのがわかります。

 

次に、アゴを出した状態で相手に押してもらいます。すると、顎を引いていたときに比べて、押されると胴体がブレやすくなるのがわかります。

このように、人は耳の位置が少しずれただけで「体全体」の姿勢のブレは大きくなるのです。これによって、スピードが低下しやすくなります。

そこで、首の後ろを最大限に伸ばすようにします。走っている最中の姿勢の安定度が向上し、結果として走るスピードが向上します。

頭部の位置を高くすると、身体にブレーキがかかりにくくなる

他に、頭部の位置が高くなると、走るスピードが速くなる要因として、ブレーキがかかりにくくなるからです。

陸上の世界では、後半に走るスピードが軽減するのを抑えるために、上体が前に突っ込みすぎないようにします。この理由として、上体が前につんのめると速く足が地面についてしまうからです。足が速い段階で地面につくと、地面を蹴る力が働いてしまい、前方に進んでいる体に「ブレーキ」をかけてしまいます。これが、スピードの減速につながるのです。

そこで、頭部の位置を高くして走り、後半になってもアゴを少し引き気味にして、首の後ろを伸ばし続けるようにします。すると、背骨が上方向に伸ばされ、過度に骨盤が前傾するのを抑えられます。それによって、足が地面に接地するタイミングが遅くなり、地面を蹴る回数、力が少なくなります。

陸上を含め前方向に走る動作は、骨盤を前に傾けるほうが、重心を前方に送りやすいです。そのために、陸上選手は骨盤が前傾になることが多いです。ただ、走るスピードを伸ばす上で重要なのはその傾きのバランスです。

もし、骨盤が傾きすぎると、脚全体が内側に向くために、親指が地面に付きやすくなります。陸上の世界では、この「蹴ろう」という意識が強くなりすぎると、かえって体にブレーキがかかってしまいます。後半になってスピードを「上げようと」とすると、つい上体が前につんのめり、足が速くついてしまい「蹴ろう」としてしまいます。

そのため、いかにブレーキをかけずに走るかを優先しなければいけません。そこで、足と地面の接地面に関わるのは「頭部」の位置です。頭部の位置を高くしようとすると、身体にブレーキがかかる要因が少なくなるため、走るスピードの減速を抑えられます。

 

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