前傾姿勢が癖づくと腰痛になる

現代人は腰痛に悩まされている人は多いです。腰痛や肩凝りに陥ると、日常生活に悪い影響が出てしまうため、早期に解決を行っていく必要があります。そして、腰痛を患う原因として、「ストレス」「姿勢の崩れ」などが挙げられます。

その中で、姿勢に関していえば、「腰痛になりやすい姿勢」があることをご存知でしょうか?具体的には、「前傾姿勢」です。前傾姿勢が癖づくと、腰に関わる背骨に負担がかかり、腰痛になってしまいます。腰痛を早期に、かつ確実に解消するためには、姿勢を変えて生活をすることが大切です。

では、なぜ前傾姿勢が癖づくと腰痛になってしまうのでしょうか?今回はその理由について解説していきます。

前傾姿勢になると、腰椎に負担がかかる

「前傾姿勢」になると腰痛が起こってしまう理由として、骨盤を前に傾けると「腰椎2、3番目」の背骨にずれが起こり、関係する神経を圧迫してしまうからです。

人の背骨は、姿勢の崩れによってねじれや歪みが起こります。腰の骨は5つの骨から成り立ち、これらを「腰椎」といいます。その中で、上から数えて2、3番目の背骨は前傾姿勢によって、前方にずれます。

そして、腰椎2,3番目にずれが起こると、周辺にある神経や血管を圧迫させてしまいます。それによって、栄養分が送られなくなり、老廃物もたまっていきます。その結果、脳から「痛み」の危険信号が発生し、痛みが生じます。

前傾姿勢に関係する腰方形筋と腸腰筋

では、次に腰痛を本質的に解消するためには、前傾姿勢の原因となる筋肉を理解する必要があります。具体的には、腰方形筋と腸腰筋が張ることで、人は前傾姿勢になります。

骨盤の前傾における骨の動きを分解してみると股関節と太ももの骨の間を曲げる、腰椎を伸ばす際に働く筋肉が関係していることがわかります。これらを少し専門的な言葉で説明すると「股関節の屈曲」、「腰椎の伸展」という骨連鎖になります。

股関節を屈曲させる筋肉、腰椎を進展させる筋肉を以下に記します。

■股関節屈曲筋群
腸腰筋 、恥骨筋 、大腿直筋 、大腿筋膜張筋 、縫工筋

■腰椎伸展筋群
腰部の脊柱起立筋群 、腰方形筋

これらの筋肉が作用して腰椎を伸展したり、股関節を屈曲したりします。そして、これらの筋肉が凝ると、前傾姿勢が癖づきます。背中周り、股関節周りの筋肉は日常生活で凝りやすい筋肉であるため、腰痛持ちの方は硬くなっていないか確認する必要があります。

なお、この中で凝りやすい部位として「腰方形筋」が挙げられます。腰方形筋は呼吸運動、内臓器官などあらゆる組織に関係している筋肉です。呼吸運動の低下、内臓疲労によっても、硬くなってしまうため、腰痛ときたら、腰方形筋が硬くなってしまっていると疑うようにしましょう。

現代人は前傾姿勢によって腰痛になる

なお、デスクワーク作業の多い現代人は前傾姿勢によって、腰痛になります。この理由として、座り姿勢は股関節を屈曲させる筋肉と腰椎を進展させる筋肉が凝りやすい環境だからです。

股関節周りの筋肉は座り姿勢で、背中周りの筋肉はストレスによって、凝りやすいといえます。座った姿勢は、股関節が常に屈曲した状態であり、下半身の血流が低下しやすいです。さらに、背中周りの筋肉で凝りやすいのは「腰方形筋」です。腰方形筋の近くにある内臓器官(腎臓、副腎)は、ストレスによって疲労しやすく、その影響で凝りが起こります。

現代人であれば、座った姿勢でデスクワークをする方が腰痛になりやすいといえます。座った姿勢で常にストレスにさらされると、骨盤が前に傾きやすくなります。

スポーツ選手も前傾姿勢で腰痛になる

そして、スポーツ選手の場合であっても、前傾姿勢で腰痛になりやすいといえます。その理由として、スポーツ選手において前傾姿勢は、スポーツパフォーマンス向上に必須であるといわれるからです。

例えば、野球の世界では、前傾姿勢によるピッチングは「パワーポジション」と表現され、下半身の筋肉を活用してピッチングするのに必要といわれます。陸上において前傾姿勢にすることで、体重を前方に移動させやすくなるため、少しお尻を後ろに引いた「出尻の姿勢」はスポーツパフォーマンス向上に必須といわれます。

ただ、このような言葉にとらわれて、常に前傾姿勢をとった姿勢を続けていると腰を痛めます。前傾姿勢をすることでスポーツパフォーマンスが高まることは間違いありません。しかし、そのように姿勢を構築したのであれば、必ず前傾状態から骨盤の立った姿勢に戻す必要があります。

実際に私はこれまで多種のスポーツ選手の身体の痛みを改善してきました。その中で、腰痛に苦しんでいたスポーツ関係者もいました。彼らの姿勢をチェックしてみると、普段から骨盤が前傾し、腰が反った姿勢が癖づいているわかりました。

このときの確認方法は「目をつむってその場で歩く」ことだけを行えばわかります。目をつむり、自分の立っている場所からその場で足踏みをしてください。もしも、骨盤が垂直に立っていれば、足踏みをしても、立っている場所はほとんど変わりません。しかし、骨盤が前傾している場合、一足分体が前に進みます。

どれだけ運動を積み重ねているスポーツマンであっても、姿勢が崩れていれば、怪我をしてしまうと理解してください。頭部、骨盤の位置がずれ、関係する神経に圧迫が起これば、脳から適切な情報や信号が筋肉に送られにくくなります。すると、筋肉の収縮運動が少なくなり、さらに神経や血管のつまりが助長され、最後に危険信号として「痛み」が発生するのです。

確実に解消するなら、筋肉ではなく、神経や血管のつまりをなくす

よく、腰痛になってしまう現認として、「背筋が張るから」と説明されます。しかし、これは半分正解で半分誤りといえます。実際には、筋肉が凝る本質的原因として、神経と血管の圧迫から起こります。そして、これらの問題を解消するためには、姿勢を正したり、筋肉の凝りを取り去ったりする必要があります。

腰痛の原因解消のために、「湿布を張りましょう」「ストレッチをしましょう」「筋肉を温めましょう」といった指導をされることがあります。しかし、実際にこれらのことを行っても、内部の神経、血管のつまりがとれることはないため、本質的な解消はできないと判断できます。なぜなら、神経や血管のつまりは「姿勢」の崩れによって起こるからです。

実際に、当治療所で腰痛持ちの方が多く来られます。その中で、疑問なのがスポーツや仕事で体を動かしている人ほど腰痛になっていることです。彼らは、普段から体を動かして、必要な筋肉も身についています。そして、前屈運動を行うと、平均以上に柔らかいのです。しかし、腰や膝に痛みを持っていると訴え、その直し方も理解できていないのが現状としてあります。

こうした現状を見ると、いくら筋肉に目を向けても、腰痛が治らないことがわかります。それよりは、既存の知識に筋肉の周辺にある神経や血管に目を向けることで、本質的に腰痛に困らなくなります。

前傾姿勢を改善するには

では、どのようにして前傾姿勢を改善すればよいでしょうか?当治療所で行っている方法としては、「姿勢」「神経」「呼吸」の三つを解消することを推奨します。これらを行えば、腰回りで起こっている痛みを軽減し、腰痛から解放できます。

姿勢を変える

姿勢を整えるときは、「首の後ろが伸び・胸が開き・肩甲骨が下がって・お腹、お尻が締った姿勢」を意識しましょう。あらゆる要素がありますが、この中で「首の後ろ」「おなか」の筋肉の使い方を変えるだけで問題ありません。

まず、鼻とアゴを同時に後ろに引くようにアゴを引いてください。次に、骨盤を垂直に立てるようにおなかをへこませます。すると「首の後ろ、背筋が伸びた姿勢」になります。自分の手で後ろの背骨を触ってみてください。すると、背骨周りにある筋肉に無駄な張りや力みがないことがわかります。

もし、腰痛の場合であれば、これらの筋肉に力みが起こっています。腰痛を抱えている場合、特に背骨周りにある筋肉(脊柱起立筋)の凝りが出ない姿勢を構築しましょう。この姿勢を普段の立ち・座り姿勢で意識することで、腰の負担が大幅に軽減できます。

深い呼吸をできるようにする

上記した姿勢を構築することで、次に深い呼吸を行うようにしましょう。ここでは詳しく触れませんが、腰痛の起こるもう一つの原因として、ストレス過多からくる「酸素不足」もあります。背筋に送られる酸素量が低下すると、エネルギー不足に陥り、筋肉が収縮しずらくなります。これによって、凝りや緊張が癖づいてしまい、腰に痛みが発生します。

まず、首の後ろを引き、おなかをへこませます。次に、みぞおち付近にある横隔膜を下げるようにしましょう。このとき、「横隔膜を下げる」という表現がわからない場合、普通に息を吸っても問題ありません。武道で実践される姿勢を構築し、呼吸動作を意識して行ってみてください。

すると、息が胸ではなく、腹部の深い箇所まで入ることがわかります。姿勢を整えることで、背筋と腹筋に凝りがなくなるため、横隔膜が上下運動しやすくなり、体内に酸素が多く取り込めるようになります。つまり、姿勢を変えて、酸素が入りやすい状態を意識して作るようにしましょう。これによって、腰痛の原因の一種とされる「酸素不足」を解消できます。

神経の凝りをほぐす:お尻回り

最後に、筋肉の収縮に関係する神経をほぐす方法を解説します。ヨガや東洋医学の世界では、筋肉の凝りをほぐす方法として、「外部から圧力をかけて、硬くなった部位をゆるめる」か「温度をかけて温める」の二通りがあります。そこで、当サイトの治療法としても推奨しているのが、低反発のもので凝りやすい筋肉を指圧し、その奥にある神経を指圧することです。

お尻を触ってみると、くぼんでいる箇所があります。くぼんでいる箇所に道具を地面に置いて押し当てます。すると、痛くて気持ちいい箇所があります。あるいは、腰骨周りにも、いた気持ちいいポイントがあります。

腰痛の方は、骨盤を垂直に立てるための筋肉が低下し、前傾姿勢が癖づいています。先ほど挙げた腰方形筋、脊柱起立筋もありますが、お尻周りにある「大殿筋」「梨状筋」も関係しています。

神経の図を見ると、背骨を通った神経は最終的にお尻、太ももの外側を通り、足先まで伝わります。その中で、お尻回りの筋肉が硬くなってしまうと、腰回りに関連する神経に圧迫やつまりが起きます。すると、腰に痛みが起こるのです。そのため解決方法として、お尻回りのくぼみに、棒や道具を床に置いて、押しあてるようにします。

このことを行うと、お尻に「痛気持ちいい刺激」がくることがわかります。この指圧を毎日2~5分、寝る前に続けるようにしましょう。すると、腰の痛みが軽減されて、結果として腰痛の痛みから解放されます。

武道の書籍を見ると、立つときくときに、「お尻を締める」重要性を説いた文章が数多くあります。弓術の世界では、「尻を締める」とはっきりと書かれた文章が紹介されています。腰の負担を軽減させるためには、お尻の筋肉の凝りを取り、普段からしまった姿勢を取ることが大切です。

以上の内容をまとめます

・前傾姿勢になると腰痛になる

・腰方形筋、腸腰筋が硬くなると前傾姿勢になる

・解決方法として「姿勢を変える(首の後ろ)

こうした内容を実践し、明日から腰に痛みのない体つくりを努めましょう。それによって、スポーツ、仕事でさらにパフォーマンス向上を遂げることができます。

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