自己認識力を上げることで、幸せホルモンは増える

ここでは、 自己認識力を上げることで、幸せホルモンを増やすこと を意識しましょう。

幸せホルモンを増やす方法として「バナナを食べる」「日光浴をする」などがよく知られていますが、実は違います。大切なのは、 普段の構えと心の状態を変えること です。

例えば、イメージとして 自分の中でもう1人の自分を作ってください
誰かに怒られたり言われたりしても、その言葉に反応するのではなく、 観察するような感覚 に切り換えます。

この「観察する感覚」を 自己認識 と言います。
自己認識(じこにんしき) とは、自分自身を客観的に見る感覚のことで、たとえば「今、私は緊張しているな」と気づけるような心の余裕のことです。

しかし面白いことに、 人は自己認識を養うことで(自分を客観視する感覚を持つことで)、幸せホルモンの分泌が促進される ことがわかっております。


具体例:瞑想による自己認識の向上

自己認識を高める具体例として、 「瞑想」 があります。瞑想をされている方の研究データで、 長期に瞑想を実践された方は、そうでない人に比べてセロトニン(幸せホルモン)の分泌量が有意に高い ことが報告されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37061347

こちらは信頼できる情報源として、「What Happens to Your Brain When You Meditate Every Day?」(Verywell Mind) によれば、瞑想を習慣にすることで セロトニンやドーパミンの増加、感情の安定、リラクゼーションなどの効果が認められている そうです Verywell Mind

さらに、瞑想は 睡眠ホルモンであるメラトニン の生産にも寄与します。なぜかというと、 呼吸をし、今の状態をただ観察し続けるだけで、セロトニンが出やすくなるからです


なぜ瞑想で幸せホルモンが出やすくなるのか?

これは、瞑想・マインドフルネスを行うことで 脳のストレスが軽減され、セロトニンを生産する力が強まるからです。たとえば瞑想によって前帯状皮質や扁桃体などの脳活動が穏やかになり、精神の過緊張が解けると、体がリラックスしてセロトニンが作られやすい状態になります PMCVerywell Mind

特に、 セロトニンを増やす方法には、食事で材料を摂る/運動で刺激する以外に、体内で作りやすい状態にする方法がある ことを覚えておきましょう。自己認識を上げることがその一つの方法である ということです。


セロトニンを作りやすくするメカニズムとは?

では、「セロトニンを作りやすくする」とは具体的にどういうことなのでしょうか?

それは、

  • セロトニンを作る材料が増えること
  • セロトニンの取り込みの反応が強くなること

によって実現できます。ここで扱った実験では、脳の化学反応をリアルタイムで分析できる手法で Fast-Scan Cyclic Voltammetry(FSCV) が用いられました ACS Publicationsウィキペディア

FSCV(エフエスシーブイ) は、高速スキャンサイクリックボルタンメトリー の略で、ミリ秒単位で脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)の変化を測定できる手法です。微細なカーボン繊維電極を用いて、リアルタイムでセロトニンの濃度変化などを観測することができます ウィキペディア

この実験では、瞑想を長期に実践した人は、セロトニンを取り込む反応が増えること、また 「セロトニン前駆体」(セロトニンになる材料)が増えていることが分かりました。セロトニン前駆体とは、セロトニンに変化する前段階の物質のことで、これが増えるということは、体の合成能力が高まっていることを示しています。


まとめ:自己認識が心と体にもたらすこと

このように整理できます:

  • 自己認識 = 自分の状態を客観的に観察する感覚
  • 自己認識を養うと、セロトニン(幸せホルモン)やメラトニン(睡眠ホルモン)の生産が促される
  • 理由は、ストレスの軽減により、脳の化学反応としてセロトニン前駆体や取り組み反応が活性化するため
  • 結果として、「自分を知り、感情をコントロールできれば、幸せホルモンが生産されやすい脳の状態になる」と言えます

次は「自己認識の内容」を掘り下げます!

ここまでで、自己認識の意義とセロトニン増加の仕組みについて理解いただけたかと思います。次のステップでは、**具体的にどのような内容を自己認識すればよいのか? それをどう身につければよいのか?**を掘り下げてまいります。